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小学校の子ども達のことや、学校の様子を振り返って & おすすめの本、趣味の話など…まあ、適当に。 (2022.6.14ここに引っ越してきました)
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昔むかし、あるところに、みっぴちゃんという女の子がいました。
ある日、みっぴちゃんは学校の家庭科の授業で「みそ汁をそのまま排水口に流すのは環境破壊につながる」というお勉強をしました。
教科書には、醤油や牛乳などを魚が住めるようにするためにたくさんの水で薄めないといけないグラフが載っていました。

みっぴちゃんは考えました。
「排水口からずっと続いた先に、ものすごい工場があって、そこで汚れた水に大量の水を入れて薄めて川に流してるんだな。そしたら、川は薄まった牛乳やお醤油だらけになっちゃう。お魚さんがかわいそうだから、やめなくちゃ。」

その頃みっぴちゃんの学校では下水道のお勉強や見学はありませんでした。
みっぴちゃんはそのまま大人になりました。

みっぴちゃんは大きくなって、小学校の先生になりました。
4年生の先生になった時、下水処理場に見学に行くことになりました。
学年の先生方と一緒に、みっぴちゃんは下水処理場の下見に行きました。
処理場の人は、子ども達が見学するコースをていねいに案内してくれました。

処理場の地下には、大きな大きなプールがありました。
処理場の人が「ここはきれいになった水をためてあります」と言いました。
みっぴちゃんは黙っていましたが、(きれいになったと言っても、お水で薄めただけじゃん)と思っていました。
すると、処理場の人は壁に掛かっている写真をさして、「外から見ると大きな浄水装置のある工場に見えますが、本当に水を浄化しているのはこの小さな微生物たちです。微生物たちが汚れを食べてくれて、水をきれいにしてくれます。私達は彼等の数が減らないように、世話をしているだけなんですよ」と言いました。

汚れた水が流れてくると、それだけ微生物は一生懸命汚れを食べて、頑張って水を浄化してくれます。浄水場では、浄化された水の水質をチェックして、消毒してから放水します。だから、「余計に水が必要」なんてことはないのです。でも、きれいな水にするのに時間がかかってしまうし、汚れが多すぎると、微生物が死んでしまい、水を浄化できなくなってしまいます。それで、浄水場の人たちは、微生物がちゃんと生きていられる状態にするために、水の汚れ具合などをずっとチェックしているのです。

みっぴちゃんは「人間が汚したものを人間がきれいにするのではない」ということに気がついて、悲しい気持ちになりました。でも、小さな小さなたくさんの生き物が、こんなところで自然を守ろうと頑張っていることも分かって、もっと自然を大切にしよう、そして、汚れをたくさん流して微生物が生きていられなくならないように、微生物が死んじゃうような変なものを流さないように気をつけよう、と思いました。

今でも時々、「醤油をスプーン1杯流した時に、魚が住めるようにするために必要な水の量は…」と書いてある本やサイトを見ることがあります。そんな時みっぴちゃんは、「お水がいるんじゃないよ!微生物が頑張って食べてくれてるんだよ!お醤油は食べられるけど、微生物が死んじゃうくらいたくさん流したり、食べられないものを流したりしちゃダメなんだよ!」と心の中で叫んでいます。

…‥‥・*・‥‥……‥‥・*・‥‥…‥‥・*・‥‥……

BOD値は、一定条件の下で水中の有機物が微生物の働きによって分解されるのに要した酸素の量を測ったもので、微生物の種類によっても違うし、何より、微生物によって分解されないものが入っていても値には出てきません。

それを簡単に「醤油をスプーン1杯流すと風呂桶何個分の水が必要」などと説明することで、子ども達に「薄めて川に流している」ような認識をさせてしまっていないでしょうか。…って、私がそう認識してしまってたんですけどね(^^ゞ

実際には、それだけの水で薄めたら魚が住めるのではなく、汚れは微生物によって分解されなければならないし、浄水場では、水を増やすのではなく、酸素を入れてきちんと汚れを分解し、魚が住める状態の水にすることができています。それに、汚れが増えれば現実問題として浄水場のキャパが追いつかなくなることも考えられます。

今このグラフが教科書に載っているのかどうかは分かりませんが、教科書に載っている内容でも、それをそのまま子どもに伝えて正しく理解できるかどうか、一度確認するようにしないとなーと思いました。

注:これは台所など、下水処理場につながる排水口に流した場合の話で、キャンプなどでいきなり川に流す場合はこの「風呂桶何個分」はそのまま適用されることになると思いますよ。アウトドア好きの方は要注意です。
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私とブログについて
小学校の教諭をしていましたが、2012年に退職しました。
定年じゃないですよっ!
ヾ(@°▽°@)ノ
今は、教育とは全く関わりのない生活を送っています。

ここに書かれている教員生活は過去のことですが、 今、先生として頑張っていらっしゃる方々の 何かしらのヒントになればと思って、 そのまま置いておくことにしました。

大変な毎日だと思いますが、まずは自分自身を大切に、 自分のできる範囲で頑張って下さいね!
応援しています。
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